北海道と東北6県のクマによる人的被害が直近5年間で396件になり、2006〜10年度から約2倍になったことが26日、分かった。環境省が持つ20年分のデータを共同通信が分析した。住宅街で餌を探す「アーバンベア」の脅威が深刻化し、人とのすみ分けに向けた環境整備が課題となっている。
多くのクマが生息する東北では近年、主な餌となるブナの実の不作が重なった。専門家は「過疎化で増えた耕作放棄地などにクマが入り込み、生息域が広がっている」と指摘。中長期的にも出没増が続く恐れがあるとみる。
全国の被害は、20年間の累計で1941件に達した。死者は59人で、このうち北海道が最多の19人だった。北海道に生息するヒグマは本州にいるツキノワグマと比べて体が大きいことが、被害を重くした可能性がある。
被害は甲信越などの地域でも生じている。大阪と千葉、四国、九州・沖縄の14府県は20年間、被害が報告されていない。環境省が公表している被害件数と、同省への取材で得た情報を合わせて調べた。






