多くのがん関連遺伝子の異常を網羅的に調べる「がん遺伝子パネル検査」を巡り、京都大病院は28日、標準治療開始前に行うと、保険診療で認められている標準治療終了後に行った場合と比べ、生存期間が延長することが分かったと発表した。同病院などの臨床研究結果をまとめた。
同病院の武藤学教授は「早期に検査をすることで、効果の高い治療に早い段階でアクセスできる。現在の標準治療終了後という制限の撤廃を働きかけたい」と話した。
臨床研究では2021年以降、がん患者172人に、標準治療前にパネル検査を実施。その結果、遺伝子変異が見つかり、専門家らが推奨した治療を受けたのは25%だった。厚生労働省が今年2月にまとめた資料によると、標準治療後にパネル検査を受けた場合、推奨治療を受けられるのは8・2%とされる。
50%の患者が亡くなるまでの期間(全生存期間の中央値)は、標準治療終了後にパネル検査を受けると19・1カ月なのに対し、臨床研究に参加し薬物治療を受けた人は27カ月。単純比較はできないものの約8カ月長かった。








