―創業138年、歴史ある会社です。

 創業者は「地域を豊かにする」ために事業を始めました。当時はまゆ玉を適正価格で買い、若者が地元で働ける産業を作る「地域共存」の精神が起点です。時代に即して再定義し、繊維の可能性を信じ、「素材で世界を変える」を掲げ、環境負荷の低い素材開発を通じ、地球規模の社会課題解決に挑んでいます。中小企業が持つ知識を価値として捉え、「知識製造業」として新しい社会価値を創造しています。

 ―タンパク質を使った、環境に配慮した製品はその象徴の一つですね。

 タンパク質素材を開発したスパイバーとの出会いが転機でした。この素材は石油由来ではないため、製造時の二酸化炭素の排出が少なく、マイクロプラスチックの発生も極めて小さいのが大きな特長です。70年前の弊社の機械と微調整できる職人の技術を生かし、協業しています。海外ブランドで採用されるなど、環境配慮素材のトップランナーへと事業が拡張しました。

 ―耐熱素材も注目されています。

 ノボロイドは産業資材用で、カーボン化することで3千~4千度の高温に耐えられます。作業工程は極めて繊細であるため、ここでも弊社の機械と職人の知識を活用しています。日本が誇る大型ロケットなどでは、長年にわたり弊社で作られた糸が部材として使用され、宇宙産業にも貢献しています。アクリレートは発熱機能繊維で、衣料などに利用されています。

 ―2026年の抱負を。

 「失敗を称賛する文化」を築くことをテーマに、新工場の建設、サプライチェーン内製化、環境素材ベンチャーへの出資など、次の柱づくりを目指し、150年、200年先の未来を見据えた投資を続けていきます。これからも「必要とされる存在」であり続けることを使命と感じ、創業の精神を核に地球規模の社会課題に挑む素材メーカーとして進化し続けていきたいです。