―昨年、抗菌薬原料の新製造棟が竣工(しゅんこう)しました。
ペニシリン系抗菌薬の共通原料6APAを生産する設備で、10月に竣工し、12月に稼働しました。国産の6APAの製造は約30年ぶりとなります。
―背景は。
ペニシリンなど重要医薬品のサプライチェーンの多くが海外にある中、2018年に抗菌薬セファゾリンが不足し、有事の際の医薬品供給体制に不安が広がりました。また、コロナ禍を機に、感染症拡大の社会的リスクも認識されました。経済安全保障の観点から、国は22年にペニシリン系抗菌薬などを特定重要物資に指定して国産化に乗り出し、当社も参画しています。創業当時から医薬品の安定供給で社会に貢献することは使命と考えております。
―今後の展開は。
稼働した6APAの生産設備は国内の全需要を賄う能力がありますが、価格面における海外原料とのバランスもあり、どこまで生産レベルを上げるかは国とも対話しながら検討しています。6APAは出発原料で、これをもとにペニシリン原薬を生産します。次の工程の生産設備の構築に着手しており、28年に原薬製造棟を立ち上げる計画です。これにより、原料から原薬に至るサプライチェーンが完成します。
―人員の確保・育成は。
30年前にペニシリンの生産に関わった社員も若干残っており、その経験を次世代に引き継ぐための教育を行っています。一昨年から、近隣の高校からの採用を増やしており、今後も一定数の採用を続けていく予定です。
―地域とのかかわりは。
工場は騒音、臭気、排水など環境に配慮した設計で、排水はしっかりと浄化して放水します。近年は水をリサイクル利用し、地下水のくみ上げも抑えています。地域イベントにも参加し、地元にあって良かったと思っていただける工場でありたいと考えています。










