国際協力機構(JICA)の国際協力事業「海外協力隊」が、発足から60年を迎え岐路に立っている。協力隊への応募者数が激減し、ピーク時の2割を切った。途上国の要請を満たす派遣ができない状況で、JICAは協力隊の事業継続が困難になる可能性があると危機感を強めている。
JICAによると、協力隊への応募者数が最大だったのは1994年度の約1万2千人。2007年度に5千人を切り、24年度は1900人弱まで落ち込んだ。
隊員になるには書類選考や語学力審査を通過する必要があり、応募者減に伴って採用される隊員数も減少。24年度は、海外に1〜2年間滞在する長期派遣について、途上国からの要請人数が2951人だったのに対し、派遣できたのは929人にとどまった。
JICA担当者は「背景には国際協力への関心低下がある」と分析する。23年実施のアンケートでは、協力隊の存在を「知らない」と答えた20〜30代は約8割に上った。
JICAの田中明彦理事長は11月の60周年式典で「人と人のつながりを象徴する日本らしい国際協力だ」と訴えた。







