2025年夏の甲子園ベスト4の礎を築いた県岐阜商前監督の鍛治舎巧さん。「No.1への道」と題し、アマチュア球界の第1人者である名将がチームづくり、選手育成、戦略・戦術のすべてをあますところなく公開する。

(1)チーム戦略;年間活動計画指針

 2024年に始まった新基準バット導入。同年のセンバツでは3本(うちランニング本塁打1本)、選手権7本、昨年25年はセンバツ6本(うちランニング本塁打2本)、選手権10本しか本塁打が出なかった。まさしく高校野球のスタイルの変革期。一番面白い時代に突入したのだと思う。

 選手の安全面を考えれば、新基準バット導入は特に投手の安全を考慮した良策だ。松下電器(現パナソニック)監督をし、同時に全日本のコーチをしていたとき、体格の良いキューバの選手が金属バットで打っていたが、打球がけた外れに速く、怖くて仕方なかった。とりわけ「投手にライナーが飛んだらどうしよう。内野手でも危ないな!」と思ったものだ。

 世界最強だったキューバ打線は別格としても、社会人選手よりも心身が未熟な高校生の場合、芯を捉えた打球が当たれば命にかかわる。新基準バット移行は、その面からも妥当なものだと思っている。

 この新ルールの中でどう勝っていくのかが選手・指導者の力の見せどころになる。導入後最初の2024年センバツでは...