正規職員として採用が決まった女性(右)と、派遣について打ち合わせる新井みなみさん=加茂郡白川町三川、白川ワークドット協同組合

 繁忙期が異なる仕事を組み合わせることで、年間を通して働ける職場を創出する「白川ワークドット協同組合」が岐阜県加茂郡白川町で発足し、今月から事業を開始した。就職希望者を組合の正規職員として採用し、一人を複数の企業などに派遣する仕組み。移住者や地元での就職を志す若者らにとって、安定した働き口が得やすくなるため定住に結び付くことが期待され、人口減少と過疎化に悩む町の活性化につながりそうだ。

 事業は、2020年6月に施行された「特定地域づくり事業推進法」に基づくもので、協同組合の設立は県内第1号。組合員でもある町内の3社1団体が発起人となって立ち上げ、派遣先からの利用料金と、国や町からの財政支援を収入源として運営する。

 派遣先となる組合員は、東濃ひのき製品流通協同組合(製材業)、そらいろ農園(農業)、美濃白川クオーレの里(宿泊業)、大脇建設(建設業)で、それぞれ繁忙期や人員が必要な曜日が異なる。就職希望者は、組合の正規職員として雇用され、二つ以上の企業・団体に派遣される。給与は組合が支払う。

 2020年国勢調査によると、町の人口は7500人を切り、5年間で千人近く減っており、働き手となる若者の流出も深刻。組合の事務局職員で、派遣をコーディネートする新井みなみさん(39)=同町黒川=は「企業は繁忙期になれば人を求める。一方で、町内で働きたいという人は通年雇用を求め、希望する職種もなかなか見つからないことから『町には仕事がない』と感じてしまう」と、人手不足なのに就職が思うようにいかない現状を語る。組合の事業はこの課題を解消し、新しい働き方の構築を目指している。

 今月15日、就職決定第1号が出た。昨年に結婚し、土岐市から転入した女性(26)=同町赤河=は、そらいろ農園とクオーレの里で働く。平日の4日間は農園で働き、クオーレの里では、大勢の客が来る日曜日に勤務する。女性は「パートを掛け持ちしようかと思っていたが、正規職員として採用してもらえる方がいい。希望も聞いてもらえた」と喜ぶ。

 新井さんは「いずれは企業に直接雇用してもらうのが理想。派遣は、将来へのステップにしてほしい」と話す。組合は今後、多くの人の希望に応えられるよう、派遣先企業を増やしていく。