弁護士と共に会見し「権力者による検閲だと思っている」と訴える杉本裕明氏=11日、県庁

 岐阜県可児郡御嵩町の町立図書館で、同町で起きた産業廃棄物処分場問題に関して書かれた書籍が1年ほどにわたり蔵書にされていなかった問題で、著者でフリージャーナリストの杉本裕明氏(67)=東京都=が11日、名誉を侵害され、精神的苦痛を受けたとして、町に1万1千円の損害賠償を求め岐阜地裁に提訴した。

 訴状などによると、昨年3月、杉本氏の著書「テロと産廃 御嵩町騒動の顛末(てんまつ)とその波紋」(花伝社)が町立図書館に寄贈されたが、町は今年4月に蔵書登録して貸し出しを始めるまで取り扱いを保留とし、近隣図書館からの取り寄せにも応じなかった。

 書籍を巡っては、杉本氏から取材を受けた渡辺公夫町長が「ノンフィクションなのに事実と違う」と批判し、昨年3月の町議会で「あんなでたらめを置くわけにいかん」と発言。同館は蔵書にするかの判断を保留していたが、3月に一転して貸し出す方針を決めていた。

 岐阜市内で同日会見した杉本氏は「権力による検閲行為だと思っている。独断的な評価や好みによって不公正な取り扱いをすることが他の図書館でもまかり通れば、公共の利益に供する図書館の役割をゆがめる」と提訴の意図を説明。同席した平井治彦弁護士は「地域住民の皆さんの知る権利や、表現の自由に関わり、内包している問題は非常に大きい」と指摘した。

 書籍は県図書館のほか、同市など県内27市町立の図書館に所蔵されている。