インタビューに応じるJOC前会長の山下泰裕氏

 柔道の五輪金メダリストで、頸髄損傷のため長期療養している日本オリンピック委員会(JOC)前会長の山下泰裕氏(69)が28日までに共同通信の取材に応じ、1カ月前の熊本地震で被害を受けた故郷について「つらい思いがある。なかなか言葉が出ない」と率直な心境を語った。

 熊本県山都町出身の山下氏は地震発生から被災地の状況をニュースなどで確認しており「地震が起きた頃は暑さの真っ盛りで、天気予報を見ると熊本は今も暑い。断水や停電もあり、ひどいというよりむごい。胸を痛めている」と話す。

 熊本城や阿蘇山など思い出深い場所は数多い。今回の地震後に爆発が起きた嘉島町の大型商業施設「イオンモール熊本」には両親と出かけて服をプレゼントし、一緒に食事もした。

 「この厳しい環境で何とかして歯を食いしばって、耐えていただいて、早く鈴虫が鳴くような秋が来ないかなと思っている」と被災者を思いやった。

 山下氏は車いすでの生活が続き「2メートルほど下のところへ転落しても、私は生かされている。少しでも前向きに生きていく」と強い決意を述べた。