男性トイレの個室に置かれたサニタリーボックス(右下)=4月21日、岐阜市橋本町、ハートフルスクエアーG

 男性トイレにもサニタリーボックス(汚物入れ)を設置する公共施設が岐阜県内でも増えている。ぼうこうがんや前立腺がんの手術の影響で尿漏れパッドを利用する男性たちが、捨てる場所に困っているため。岐阜新聞社が5月中旬までに県内42市町村にアンケートを行ったところ、約3割に当たる13市町が何らかの施設で対応していた。

 ぼうこうがんは男性に多いがんで、県が今年1月に発表した集計結果によると2018年にかかった県内在住の男性は315人に上る。前立腺がんは1525人で男性のがん患者の中で最も多い。

 「さまざまな人が利用する公共施設だからこそ、利便性を高める必要がある」。岐阜市生涯学習センターの中村和雅所長は話す。今年4月、センターが入る市の施設ハートフルスクエアーG(同市橋本町)の男性専用トイレの個室全14カ所に、足踏み式のステンレス製ボックスを置いた。

 ぼうこうがんを患いパッドを使っている女性職員から「取り替えるときに女性は捨てる場所があるが、男性は捨てる場所がなく困っている」と聞き、清掃業務にも支障がないと分かったため設置を決めたという。

 安八郡神戸町も4月、本庁舎の一部の男性トイレに設置した。総務課の担当者は「ぼうこうがん患者らのニーズがあることは把握しており、障害がある人を含めて多くの人が利用する本庁舎から設置を決めた。今後増やすかどうかも検討したい」と話す。大垣市でも「地区センター」2施設で対応していた。

 県内有数の観光地、高山市では観光施設「飛騨の里」に備えるほか、道の駅や複数の公園にも置いていた。子どものおむつ替えや、トランスジェンダーの人の利用を設置の理由に挙げた自治体もあった。

 「設置していない」「把握していない」とした自治体の中でも、14市町村は設置に前向きな姿勢を示しており、関心の高さがうかがえた。

 公共施設の男性トイレにサニタリーボックス(汚物入れ)を設置していると回答した県内の自治体は次の通り。

 岐阜市、大垣市、高山市、中津川市、土岐市、可児市、飛騨市、郡上市、海津市、養老郡養老町、安八郡神戸町、揖斐郡揖斐川町、可児郡御嵩町

 【男性トイレのサニタリーボックス】 ぼうこうがんや前立腺がんの手術後に排尿のコントロールが難しくなり、尿漏れパッドを利用する人がいる。ぼうこうがんを公表したキャスターの小倉智昭さんがパッドを捨てる場所がない不便さを訴え、全国の自治体で対応が進んでいる。東海3県では愛知県日進市や三重県伊勢市が市庁舎のトイレに設置した。