新聞学習コーナーではテーマごとに掲げた写真や新聞各紙に触れることができる
「新聞タイム」で記事の視写に取り組む1年生たち=岐阜市上土居、常磐小

 岐阜市上土居の常磐小学校(阿谷亘校長、児童326人)は2017、18年度の県NIE実践校。2年目の今年は教科等での新聞活用に加え、朝活動の時間に「新聞タイム」を設けて全学年でNIEを日常化し、児童オリジナルのかべ新聞などを掲示しながら、「伝え合い、学び合う力の育成」に励んでいる。

◆書き写しから発展学習

 試行錯誤の実践だったという初年度。低学年は四季折々の新聞写真を活用し、1年生は生活科で「すごろく」、2年生は国語科で「カルタ」を制作した。中学年は社会科の振り返り学習として新聞作りを並行して行い、3年生は地元商店街やスーパーマーケットなど「店で働く人」、4年生は警察署や消防署を訪ねて仕事の内容、やりがいや苦労を聞いて記事にまとめた。

 高学年は新聞記事を取り上げて意見を交わした。5年生は社会科で、インターネットでも大量な情報が入手できる現代での「新聞の必要性」について考え、6年生は総合的な学習の時間に「共に生きる」をテーマに介護福祉サービスの記事などを集めて模造紙に貼り、感想や意見を記して発表。さらには、自主学習で興味を持った記事を要約し、感想をまとめる児童もいた。

 こうした実践1年目の取り組みを振り返り、▽新聞で未知の言語に触れることで児童の語彙(ごい)が豊かになった▽記事を読んで世の中の出来事に関心を持つようになった▽客観的情報を整理して書く力・話す力などが身に付いた-という。

 実践2年目は、教科等での取り組みを支える力を付けるための実践を継続して行う「NIEの日常化」を目標に掲げた。毎週火曜日の「朝活動の時間」(午前8時15~30分)を「新聞タイム」にし、全校児童が記事の視写を行っている。

 6月末までに平仮名を学び終えた1年生は7月からスタートした。3日の新聞タイムで視写したのは事前に先生が切り抜いていた上野動物園のジャイアントパンダの「シャンシャン」が1歳の誕生日を迎えた記事。習っていない漢字は先生が平仮名に置き換えて示し、子どもたちは平仮名の復習も兼ね丁寧に書き写した。内容を理解しようと文字を読み上げたり、元の記事と見比べて未習の漢字に触れたりする姿もあった。掲載写真を参考にパンダの絵を描き、写真と記事の二つの情報をもとに「耳は黒色」「木にも登る」などとパンダの特性を見いだす子もいた。

 発達段階に合わせて各学年で取り組みを工夫しており、火曜日以外の朝活動「読書の時間」で新聞を活用するクラスもある。

 さらに中高学年は毎日、朝の会のスピーチで日直が興味を持った記事を仲間に報告している。3年生は、羽島市の「大賀ハス」が見頃を迎えた記事の写真を教室のテレビ画面に映し出し、どこで、いつ頃咲くのかなどを、記事を見ながらみんなで確認し合った。

 児童らが選んだ写真は3年生の教室近くの通路に設けた「みんなの広場 新聞学習コーナー」に岐阜・スポーツ・動物・自然などに分類して掲示し、新聞各紙をいつでも誰もが見られるように環境も整備した。休み時間には同じ記事を異学年で読み、感想を語り合う姿も見られる。

 また、校内には、クラスごとに学習や活動を振り返る児童たちオリジナルのかべ新聞も掲示している。「表現することは大変だけれど、工夫した題字や見出し、イラストなどに読む人がどんな反応をしてくれるかが楽しみ」と児童ら。阿谷校長は「子どもたちが新聞と触れ合い、社会や未来につながる出会いの場づくりに努めたい。今後もNIEの成果をさらに『見える化』していきたい」と話す。