通信アプリLINE(ライン)で読者とつながる岐阜新聞の「あなた発!トクダネ取材班」(あなトク)は、安倍晋三元首相の国葬の是非を尋ねたところ、反対が賛成を大幅に上回った。反対は、政府が公表した2億5千万円という予算について「本来は税金。あまりにも高額だ」とする声や銃撃事件を機に明るみに出た宗教団体との関係を問題視する意見があった。賛成は「史上最長の首相在任期間を評価」「内政、外交とも功績が多い」という声が多数を占めた。

 反対は、2億5千万円に加え非公表の警備費などが多額とする声や、宗教団体との関係、経済政策のかじ取り、在任中の疑惑などを挙げ、不適当とする意見が目立った。

 飛騨市の自営業の男性(59)は首相在職日数最長にも「実績は大したことがない」と厳しい。「成長戦略がインバウンド(訪日客)以外になく、国内総生産(GDP)や実質賃金の伸びは低迷した。短期のはずの異常な金融緩和を止めず、後任もいまだに出口を指し示せていない」と指摘する。岐阜市の会社員の男性(43)も「恩恵を受けたのは大企業。中小企業に恩恵はあまりなかったし、地方は寂れた」と話す。

 「元はといえば、予算は税金」という意見も多かった。美濃加茂市の主婦(60)は「国民の税金を使って行うのは反対。税金は困っている人のために使って」と話す。

 岐阜市の会社員の男性(50)は沖縄返還を実現、ノーベル平和賞を受賞した佐藤栄作元首相を挙げ、「日本史に残るほどの功績だが、国葬はしていない」と指摘。安倍元首相について「実績といえば、消費税を2度も上げたことくらい」と言う。

 賛成意見は、歴代1位の首相在職日数、在任中の功績を挙げる声が多かった。

 中津川市の無職の男性(78)は「世界から評価された政治家。費用は国の予算としてはむしろ微額ではないか。メディアが騒ぎ過ぎだ」と話す。

 美濃市のパート男性は首相の通算在職日数3188日を評価し、「長年にわたり、先頭に立ち日本を引っ張ってきた実績に敬意を払ってもいいのでは」と好意的に語った。土岐市の自営業男性(57)は「自虐的な史観から脱却するきっかけをつくってくれた、誇るべき政治家だ」と指摘した。

 10代の若者にも知られていた安倍元首相。岐阜市の男子高校生(16)は「在任期間も長く、各国との外交関係の良好化に大きく貢献した。東京五輪を実現した。新型コロナウイルス下の対応、緊急事態宣言もスピーディーだった。何をすべきかの判断がとても良かった」と語った。

 「あなトク」は1日夕~2日夕にメッセージを募り、173件の投稿があった。内訳は国葬に賛成が40件、反対は133件だった。募集は多様な声を聞き取るのが目的で、無作為抽出により民意を把握する世論調査とは異なる。