「2ページずつ交代で読もう」

 毎日、息子のそんな言葉から、本を交代で音読する交代読みが始まりました。私は、ページを決めて、親子で交代に本を音読することを「交代読み」と呼び、子育ての講演をするたび、皆さんにお勧めしています。

 息子は、私との交代読みが大好きでした。就学前はもっぱら読み聞かせでしたが、文字が読めるようになると、交代読みをするようになりました。

 最初に読んだのは、「かいけつゾロリ」シリーズです。息子は、ゾロリではなく、子分のイノシシ「イシシとノシシ」が大好きでした。

 その後は、さまざまなジャンルの本を読みました。息子が特に好きで、繰り返し読んだシリーズを、いくつか紹介します。まず、「ミルキー杉山のあなたも名探偵」シリーズ。最初は「推理しても全然分からんね」と笑っていましたが、何度も読むうちに覚えてしまい、「これは~だね」と得意げに話す姿が心に残っています。次に、「シルカ小学校」シリーズ。カレーお化けが大好きでした。そして、「わがままおやすみ」シリーズ。「れいぞうこのなつやすみ」など、物が関西弁で話す様子が面白かったようです。「がまくんとかえるくん」シリーズも好きで、ぬいぐるみを買ったこともありました。

小2の頃の高田明浩さん。昼間は外で遊び、夜は交代読みをする毎日を送っていた=2009年8月、中津川市

 2年生の時は「子どものための世界文学の森」シリーズ、3年生になると、「マジック・ツリーハウス」シリーズを、週末ごとに読みました。交代読みで読むと、1冊読み切るのに2~3時間かかります。

 私は何日かに分けて読みたかったのですが、息子は一日で読み切ろうとするので大変でした。途中10分ほどの休憩を入れて、なんとか読み切っていましたが、私はいつもヘトヘトで、息子の集中力に驚いたことを覚えています。

 当時は、息子が毎日、交代読みをしたがるので、平日は毎晩15分ほど、週末は数時間ほど、交代読みをしていました。今思えば、そうやって本に親しんでいたおかげで、難しい将棋の本もスラスラ読めたのかなと感じます。

 今回、日記を読み返していて驚いたのは、自分でたくさん本を黙読し、将棋に取り組むようになった5、6年生の時も、「明浩は、毎日、私と、音読と相撲をするのを楽しみにしてくれている」と書かれていたことです。息子と交代読みをしていた6年間は、私にとって、貴重な思い出です。

(「文聞分」主宰・高田浩史)