公立中学校の休日の部活動を地域団体や民間事業者に委ねる「地域移行」が、2023年度から段階的に始まる。地域移行が進めば、部活動の在り方が様変わりする一方、受け皿の確保など課題も山積する。昨年12月には、国が「2025年度末」としていた地域移行の達成目標を設定しない方針に転じるなど早くも実行性に暗雲が漂う。国の本気度が問われる中、地域移行に関わる人たちは、現状をどう見ているのか。岐阜県内の基礎自治体の教育委員会や公立中学校の教員、保護者団体や地域クラブの代表者ら4人と座談会を開き、それぞれの立場の「本音」を紹介する。
かんたん検索! 岐阜県・東海のイベント お出かけ情報総合サイト「ぎふっと!」■地域移行は課題解決策の一つ
記者 国は、少子化や教員の働き方改革を背景に、地域移行を急いでいるようにも映る。
A(保護者)今の学校現場を考えると、先生はいっぱいいっぱいで致し方ないと感じる。
B(教育委員会)教員が子どものために一生懸命やりたいと思っていても、現実的に時間を取れない教員がいるのも事実。子どもは少子化でやりたい競技ができない現状もある。いろんな課題が明らかになり、地域移行はその解決策の一つだと捉えている。
記者 部活が子どもたちに果たしている役割は大きい。
C(中学校)私自身、部活で育ててもらった。困難や難局に直面しても、こういう方法があるとか、解決方法を経験の中で教わった。部活は生きていくための教科書の要素をたくさん持っている。
A(保護者)子どもの健全育成に部活は大きく影響している。心が鍛えられる。
■競技力向上のきっかけ
記者 部活改革とも言われる地域移行は、子どもたちにとっても有益になるのか。
A(保護者)専門性の高い指導を受けられるという意味では、非常にメリットだ。
D(クラブ)中学生の競技力は、新型コロナウイルス禍の活動制限と教員の働き方改革でものすごく下がった。岐阜県は特に顕著だ。今はいろんな地域クラブが発足していて、地域移行は競技力向上のきっかけになるのではないか。
B(教育委員会)部活は学校単位で組織され、学校内で強い弱いはあっても、基本的には同じ体制で動いている。だが子どもがその体制に合わなくなってきた。今の学校では一律のものしかつくれない。地域に出れば、いろんな仕組みをつくることができ、自分に合ったものを選ぶことができると期待している。
■地域差や競技差懸念
記者 一方で、外部指導が本当にうまくいくのか不安の声もある。懸念を挙げるとすれば。
C(中学校)部活は競技志向型や楽しみ志向型とか、さまざまな子が共存する。クラブでは全員が受け入れてもらえるかどうか。競技志向型に走れば、楽しんでやりたい子ができないのは否めない。
D(クラブ)どうやって外部の指導者をつくっていくか。目的は子どものための人材育成だ。それが根幹にないと、どうしても競技志向型や勝利至上主義になる。目的を明確にしないといけない。
B(教育委員会)地域移行は、課題を丸ごと解決する万能策のような描き方がされている。ただ、財源などの違いもあり、この地域はうまくできても、この地域では実現できないというのが目に見えている。
C(中学校)競技によっても差がある。競技団体がきちんとしている組織もあれば、脆弱(ぜいじゃく)で教員に頼らないと運営できない組織もある。
■地域全体で責任負う体制を
記者 教員の働き方改革と言われるが、移行先でトラブルが起きれば、結局、教員が対応することになって負担が増えかねない。
B(教育委員会)トラブルが起きた時、泣きつけば助けてもらえるかもしれないと保護者に思ってもらえる組織が必要だ。教員は子どもが苦しんでいたら助けるのは当たり前。ごめんなさいを言って終わるくらいのトラブルならいいが、終わらないようなものだと、しっかり解決しなければ子どもが不幸になってしまう。しっかりした体制をつくってから動かないといけない。
C(中学校)その場しのぎの組織だったら、トラブルは必ず起きる。今のスキームでは、学校はその処理に当たらないといけない。親も相談する場所がなく、先生どうしましょうとなる。勝利至上主義に走れば走るほど、その傾向は強くなるだろう。
A(保護者) 学校の先生だけではなく、地域全体で責任を負わないといけないと思う。













