胴着に身を包み、生徒とともに部活動に汗を流す佐藤秀明教諭=山県市高木、市総合体育館

 今月7日午前7時半過ぎ。岐阜県山県市立高富中学校の生徒指導主事の佐藤秀明教諭(36)は、生徒の登校前に校門に立っていた。「おはよう」と生徒に声をかけながら一人一人の顔色や表情に目を配り、様子に変化がないか気にかける。

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 担任のクラスを持っていないが、朝から欠席者の有無や、不登校がちな生徒の対応など日々の業務に追われる。授業がない空き時間は急きょ舞い込んだ施設の修繕に関する資料の作成や、スクールカウンセラーと保護者の取り次ぎ、さらに各教室を回り、校内掲示用に授業中の生徒の印象的な姿や頑張りをデジタルカメラに収めていった。

 夕方は柔道部の顧問として部活動に参加。外部指導者がいるため、生徒とともに汗を流す。競技は未経験だが、「生徒と一緒に一からやることで、子どもたちも信頼してくれる」と手は抜かない。部活後も生徒の下校を最後まで見届ける。

 教員が部活動の指導に携わることは、前向きに捉えてきた。「子どもの成長を感じられる。部活だからこそできる教育がある」と佐藤さんは感じる。一方、平日の夕方や休日の部活動が教員の負担になっているのも事実だ。「教員の仕事はこれでいいというゴールがない。何かを削ればその分、生徒と向き合える時間も少なくなる」と複雑な心境を明かす。

 部活動を「地域移行」する背景の一つには、教員の働き方改革がある。県教育委員会が調査した今年4~7月の労働時間で、4カ月間の平均の時間外勤務は、県教委策定の「教職員の働き方改革プラン」で上限とする月45時間を上回る教員が、中学校は51・1%を占めた。小学校の37・5%、高校の19・1%と比べても高い数値だ。

 県教職員組合連絡会議の今年6月の調査では、1週間の時間外勤務の平均は中学校が18時間ほどだった。長時間勤務の要因の一つが部活動で、希望する改革では「外部委託制」や「顧問の希望制」を挙げる教員が多かった。「(生徒の)部活の参加も自由化となり、全教員が携わる必要があるのか疑問」「クラブ化の早期実現を願う」という記述もあった。

 国は、休日の部活動の地域移行を進め、将来的には平日の活動についても学校から切り離すことを検討している。県教職員組合の長谷川督翁執行委員長(62)は「部活動にやりがいを感じ、指導を望む教員も一定数いる」とした上で、私生活が制限されることや、専門外の競技でも指導しなければいけないケースを挙げ、「負担に感じている人が多いのも事実。地域移行が進むことで、最終的には教員の志願率の回復にもつながってくると思う」と期待する。

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 公立中学校の部活動が、大きく変わろうとしている。国は、少子化や教員の働き方改革を背景に、2023年度から段階的に休日の指導を地域団体や民間事業者に委ねる「地域移行」を進める方針だ。「部活動改革」には運営主体となる受け皿や教員に代わる指導者の確保といった課題もある。教育現場を取材し、部活動の未来を考える。