下の子を出産し、育休を取得すると、保育施設に通う上の子が退園を余儀なくされる「育休退園」の岐阜県内の実態を紹介した岐阜新聞の「あなた発!トクダネ取材班」(あなトク)の7日付記事。あなトク取材班には「育休退園の運用を廃止してほしい」という切実な声や、「子どもは家庭で見るべき」との意見が寄せられるなど、さまざまな反響があった。

 本紙の記事は複数のニュースサイトにも配信し、ヤフーニュースでは2800件近いコメントが寄せられた。本紙のツイッター公式アカウントでツイートすると、30万回以上閲覧された。

 30代の女性会社員=多治見市=は現在育休中で、双子を育てている。3人目もほしいが、市では3才未満が育休退園の対象となるために妊活の時期を迷っているという。「国は少子化対策で子どもを産んでほしいと言うが、市や保育園の助けを得られなければ難しい」と指摘する。共働きで子ども1人を育てる女性会社員(39)=大垣市=は「大垣市は『子育て日本一』を掲げているのに」と育休退園を運用する市の姿勢に疑問を呈し、「他の市町村の上をいく施策をやってほしい」と要望する。

 「似たような状況を経験し、精神的に追い詰められた」とコメントを寄せた女性(34)は職場の託児所を利用していたが、下の子が生まれ、上の子は退所させざるを得なくなった。自治体の窓口に相談したが育休中は新規に入園できないと断られた上、窓口で心ない言葉をかけられ、「助けてくれる場所や窓口はないと痛感した」。保育士の労働環境の改善を望んだ上で「育休退園が家族の増える家庭に与える影響を知ってほしい。実家の両親も現役で働いている家庭は多く、昔のように誰かが手伝ってくれる環境は当たり前ではない」と訴える。

 一方、「子育ての基本は家庭」と語るのは40代の女性保育士。「小さいうちは日に日に成長がみられ、喜びはこの時期しか味わえない」とし、2人の育児経験から「育児の大変さは分かる。保育園の利用を否定するわけではないが、育休などで家にいるのなら、一緒に見るのが母親として当然と思う」と述べた。

 このほか、専業主婦の女性(37)=岐阜市=は「家庭保育している人は何かと置いてきぼり」と嘆く。「就業の有無や内容で決めるのではなく、誰でもいつでも保育を利用できるようにすべき」と提言し、保育施設を利用していない家庭にも柔軟な支援を求めた。

    ◇    ◇

 あなトク取材班の自治体アンケートで、育休退園を「廃止した」と回答していた恵那市は、条件付きで運用していた。親が育休を取得する場合、3歳未満児が通う保育施設に定員の余裕があれば継続利用は認められるが、途中入園の希望者で定員を上回る場合は退園させられる。昨年3月まで3才未満は原則退園としていたためアンケートには「廃止した」と回答していたが、事実上の「緩和」だった。市によると、育休退園者数は21年度は13人、22年度は12月末までに7人だという。

 これにより、県内で育休退園を運用する自治体は17市町村、廃止したのは7市町となった。