2011年7月2日は、岐阜県各務原市の鵜沼宿の将棋講座の最終日でした。その日は将棋大会でしたが、明浩は2回戦で磯谷祐維さん(現女流アマ名人)に負けて終わったそうです。当時の息子は、柴山芳之先生が期待する彼女に勝つことを目標にしていました。

 7月に入ると、前月から学び始めた棒銀戦法が身に付いてきたようで、公民館の将棋教室では、ほとんど勝てるようになりました。夏休みに入ると、将棋ざんまいの毎日を過ごしました。

 8月14日は、名古屋市の東山公園での将棋大会に参加しました。3連勝の後、最後の対局で負け、「反則されたのに途中で審判に言えなかった。後で言っても駄目だった」と大泣きしました。でも、その後、動物園でいろいろな動物を見ると、ケロッとして、楽しく帰途に就きました。

川上猛棋士(右)から賞状を受ける高田明浩さん=2011年8月27日、愛知県小牧市

 20日には、初めて大阪市の関西将棋会館へ行きました。私の実家への帰省に合わせてのことです。そこで、稲葉陽棋士の指導対局を受けました。プロ棋士の指導対局は初めてでしたが、とても優しく教えてくださったことが記憶に残っています。

 27日には、将棋大会で初めて入賞し、賞状と川上猛棋士の色紙を頂きました。その翌日の将棋大会でも、入賞しました。

 この後、息子は、秋の大会、冬休みの大会でも入賞します。息子が大会で入賞できたことは、その後、将棋を長く続ける要因にもなったと思います。

 将棋大会での入賞は、同時に、もっと強い、優勝する子たちを間近に見る経験にもなりました。息子は、彼らが就学前から将棋が強く、自らたくさん将棋の勉強をしていることを知り、驚きます。

 私が子どもたちを教えている作文の分野でも、入賞したことがきっかけになって、意欲が高まり、さらにレベルアップしていくケースは、非常に多いです。入賞までには、通常3~5年の地道な努力が必要ですが、だからこそ、喜びもひとしおです。

 好きなことで努力して入賞することは、その子にとって、大きな自信になります。息子は、将棋が好きになって上達し、入賞したことで、ますます将棋が大好きになりました。同級生に、もっと強い子がいると知ったことも、きっと、刺激になったのだと思います。

 この時期の日記には、「息子は将棋が大好きだ」という記述が多く見られます。私は、将棋に熱中して毎日を楽しく過ごす息子の姿を、うれしく感じていました。