8日開幕する第105回全国高校野球選手権記念岐阜大会。V争いをけん引する県岐阜商と大垣日大の2強は、練習試合最終戦も終え、万全の状態で夏を迎える。両校の仕上がり具合をリポートする。

【県岐阜商】粘り、しぶとさ磨き、盤石の夏へ

順調な仕上がりを見せる県岐阜商のエース今井翼=敦賀気比高

 県岐阜商は2日、選抜で大阪桐蔭に惜敗した敦賀気比(福井)との練習試合最終戦は1―1と引き分けたが、際立ったのが投手陣の盤石ぶり。ベンチ入り予定の4投手でつなぎ、被安打3、失策による1失点。先発のエース今井翼は6月中旬は疲れがたまり、失点を重ねる場面があったが、3回被安打1、無失点。「ストレートがコースに決まり、調子は上がっている。コンディションを整え、打者ごと、打席ごとの対応力をさらに磨く」と気合い。山口恵悟は変化球がさえ、2年の森厳徳もスライダーの切れを増し、安定感が光る。敦賀気比戦で最速146キロの豪腕小林希も力があるボールがコーナーに決まり、昨夏甲子園での乱調が信じられない成長ぶり。

敦賀気比戦で八回2死二塁から先制の左前打を放つ園田進之助=敦賀気比高

 打線は敦賀気比戦、八回に2死走者なしから加納朋季、園田進之助の連打で先制。主将の小林凜人が「一人一人が勝ちにこだわることでチームが変わったが、東海決勝・加藤学園(静岡)戦の悔しさを胸にどんな状況でも負けない粘り、しぶとさを一段と徹底してきた」と語るように負けないチームに仕上がった。

 強打県岐阜商の中核三塚武造。修正を図り、万全の状態で最後の夏を迎える=敦賀気比高

 打線の核・三塚武造は6月に入り、練習試合で毎試合3、4本の安打を重ねるなど好調。「好調過ぎて逆に課題の〝体の開き〟に意識がいかない事があったが夏は徹底して臨みたい、持ち味の長打力で引っ張る」と意気込む。

 鍛治舎巧監督の方針で年間行う紅白戦形式のシート打撃を連日こなし、投打ともにさらに仕上げ、負けないチームから勝ち切るチームへ、夏3連覇に臨む。

【大垣日大】鍵のエース山田復調。高橋も連発

不調から脱し、調子を上げる大垣日大のエース山田渓太=大垣日大高グラウンド

 「どこをどうしたら戻るのか、さっぱりわからない」。6月初旬、大ベテラン阪口慶三監督をしてもお手上げ状態だった大垣日大のエース山田渓太。140キロを超えていた最速も120キロ前後と走らない。「どれだけ腕を振っても球がいかない」と山田も深く考え込んだ。選抜出場の原動力となった昨秋東海でスライダーを多投し「手投げになっていた。この時に異変に気づいていれば、これだけ苦しまなかった」と言う。

 だが、エースは苦悩の淵からはい上がった。動画でフォームを徹底的に検証し、「体重移動と下半身主導の徹底」(山田)によって、開幕直前に復調。スタミナに不安があったことから、練習試合で抑え起用の今治西(愛媛)と東邦(愛知)、先発した最終戦・松山商(愛媛)の3カードで計11回無失点。球速も140キロ超によみがえった。

東邦との練習試合で2打席連続本塁打を放つ大垣日大の主砲高橋慎=大垣日大高グラウンド

 打線も練習試合で圧勝続きと好調。中でも主砲高橋慎は東邦との練習試合で、注目右腕の宮国凌空から2打席連続本塁打を放ち、松山商戦も2戦連発と手が付けられない。高橋は「冬場の筋力強化で、まっすぐに振り負けなくなった」とスイング力アップを要因に上げる。捕手としてインサイドワーク、二塁送球も安定。「2年半の集大成として何としても祖父と夏の甲子園に」と目を輝かせる。

 盤石の2強を打ち崩すチームは現れるのか、開幕が待ち遠しい。