各校の主将が集まり行われた抽選会=わかくさ・プラザ

 第105回全国高校野球選手権記念岐阜大会の組み合わせ抽選会が24日、関市のわかくさ・プラザで開かれた。大会は68校66チームが出場し、7月8日に長良川球場で開幕。28日に決勝を行う。

◆2023高校野球岐阜大会 組み合わせ

 春季県大会で4強の県岐阜商、大垣日大、中京、岐阜がA~Dブロックの第1シードに入り、8強の多治見工、岐阜第一、益田清風、市岐阜商が各ブロックの第2シードに入った。その後、予備抽選順に各校の主将が本抽選の番号を引き、組み合わせが決まった。選手宣誓は岐阜聖徳の主将小川遙大が引き当てた。

 大会は、天候不良などで試合が中断した場合は翌日以降に中断時点から再開する「継続試合」と、延長十回からのタイブレークを取り入れる。今大会からは、暑さ対策として五回終了時に10分間の「クーリングタイム」を設ける。また、昨夏は新型コロナウイルス対策として大声を出す応援は禁止だったが、今大会は4年ぶりに制約がなくなり、通常開催に戻る。

【ブロック展望】

 各ブロックとも春県4強の県岐阜商、大垣日大、中京、岐阜と春県8強が軸となりそうだが、岐阜城北、美濃加茂、帝京大可児、関商工など強豪も各ブロックにノーシードで名を連ね、激戦が予想される。各ブロックの注目校や注目選手を挙げながら展望する。

【Aブロック】

◆県岐阜商、投打に盤石

 春県優勝で東海準優勝の県岐阜商が頭一つ抜ける。投手陣は、エース左腕今井翼、右腕の森厳徳、山口恵悟ら最速140キロ超えの好投手がそろい、安定感が際立つ。特に今井は制球力抜群で、スライダーやチェンジアップなどの変化球も精度が高く大崩れしない。打線も小林凜人、三塚武造、加納朋季ら強打者が並び、切れ目がない。投打ともに盤石といえる。対抗は、春県8強の多治見工と強豪の岐阜城北で、初戦で激突する。多治見工は、完投能力のある千葉翔太を擁し、粘り強い。岐阜城北は、強肩強打の捕手秋田和佳を軸に打線が強力で、攻撃力が高い。大垣商、岐阜聖徳、高山西も戦力が高く注目される。

【Bブロック】

◆大垣日大、厚い投手層

 今年の選抜大会に出場し、春県2位の大垣日大に岐阜第一や美濃加茂などの強豪がいかに食らいつけるか。大垣日大は、エース山田渓太に加え、左腕矢野海翔、2年生右腕権田結輝が急成長し、投手層が厚くなった。好打者の米津煌太、高橋慎、山田が軸を担うつながりのある打線は、破壊力抜群だ。岐阜第一は、前チームから主力の目川投や丹羽淳大らが打線の中心を担い、力は十分にある。投手陣がどこまで試合をつくれるかが鍵。美濃加茂は、大嶽一惺、木戸脇海晴、若宮楽と好投手がそろい、戦力は整っている。このほか、試合巧者の東濃実も面白い存在になりそう。好投手擁する池田もダークホース。

【Cブロック】

◆中京軸に僅差の戦い

 春県3位の中京がリード。エース左腕の菅沢宙は直球、スライダーの切れが抜群で安定感が増した。経験豊富でマウンド度胸もあり、試合をつくる能力にも優れている。エースが安定しているだけに菅沢以外の投手の出来が勝敗を左右しそう。打線は強力で、特に南谷知風と三浦暖都は長打力があり、本塁打も期待できる。益田清風と帝京大可児の初戦は好カード。益田清風はエース桂川航輝、捕手青木龍信を中心とした堅実な野球で、春地区2位、県8強と結果を残した。昨夏準優勝の帝京大可児は投手陣が豊富で、多彩な投手を中心に守り勝つ野球が武器。高いレベルでの僅差の戦いが期待できそうだ。

【Dブロック】

◆岐阜と市岐阜商、拮抗

 昨秋、今春の県大会で4位と安定した戦いぶりが目立つ岐阜が軸になりそうだが、打線が強力な市岐阜商も力があり、拮抗(きっこう)している。岐阜は、エース鷲見旺宥、捕手篠田健太朗の経験豊富なバッテリーがチームをけん引する。鷲見は、直球の最速が140キロを超え、球威が増した。ほかにも井上雄貴、小倉悠叶も力を付け、投手力を上げている。初戦の関商工戦が注目される。市岐阜商は、松本瑛人、足立義虎らパンチ力のある好打者がそろい、波に乗ると大量得点も期待できるチーム。エースの森楓真ら投手陣が最少失点で切り抜け、攻撃に良いリズムを生み出せるかが勝敗を左右しそう。

◆大会展望 県岐阜商3連覇狙う 大垣日大との2強軸

 26年ぶりの岐阜大会3連覇を目指す県岐阜商か、2年連続選抜出場の大垣日大か―。実力的に抜きん出た両校が軸となるのは間違いない。

 県岐阜商は投打とも層の厚さを一段と増した。昨秋の県大会は8強止まりだったが、春は東海大会で決勝まで進み、失っていた“自信”という武器も手にして死角は見当たらない。大垣日大はエース山田渓太の復調が鍵だが、高橋慎の捕手コンバートで全体に安定感を増し、スイングの鋭さも群を抜く。ただ組み合わせは厳しい。

 抽選最大の注目は、ノーシードの美濃加茂と帝京大可児がどのブロックに入るかだった。中でも美濃加茂は昨夏、初戦で大垣日大を撃破した原動力の右腕大嶽一惺が1年ぶりに復活。その大垣日大と4回戦で再戦となる組み合わせとなった。同ブロックには好素材の1年生の加入で戦力アップしたダークホース岐阜第一も入り、見どころは満載。

 帝京大可児は、昨夏の左右2枚での準Vから今年はプロ注目の大型左腕加藤大和はじめ、140キロ超えの左右各2人に右サイドと多彩な投手陣。監督と主将の交代から再建し、屈指の左腕菅沢宙擁する中京とベスト4懸けとなれば注目の一戦となる。

 夏は69年ぶりとなる岐阜の名門復活への挑戦も一大トピック。例年になく投手陣のレベルが高いだけに課題の守備と得点力を“考える野球”で補い、どう勝機を見い出していくか。一戦一戦、目が離せない。