「がんばれ!」「負けるな!」。第105回全国高校野球選手権記念岐阜大会が開幕した8日、岐阜市長良福光の長良川球場は応援団の声援に包まれた。昨年は、声を出しての応援が禁止されたが、今年は4年ぶりに新型コロナウイルス感染拡大に伴う制約が全てなくなり、通常開催に戻った。大会初日のスタンドでは、夏を待ちわびた観客が大きな声で白球を追う選手にエールを送った。

 球児だけでなく応援団にとっても、制限が続いたコロナ禍の3年間だった。2020年の独自大会では、保護者とベンチ外の野球部員を「大会運営のボランティア」と位置付け、さらに人数制限をした上で入場を認めたのみ。21年は、控え部員や学校関係者は入場できたが、吹奏楽部の演奏を録音した音源を流す応援だった。22年は有観客での開催だったが、声出し応援は禁止された。

 高校最後の夏に新型コロナの影響を受けたOBたちも、4年ぶりの通常開催を喜ぶ。武義高前主将で大学1年の山田陸さん(18)=関市=は「今年は応援しているこちらも楽しい」と声を弾ませた。大垣西高OBで大学3年の長岡慶太さん(20)=揖斐郡池田町=は「応援はとても力になる。自分たちの代は応援の声がなかったけど、活気が戻ってきてうれしい」と笑顔で語った。

 球児を支える保護者の表情も明るい。加茂農林高の選手の母(53)=加茂郡白川町=は「応援の熱も一層入る。応援席は大盛り上がり」と興奮気味。3年生の息子の応援に訪れた女性(41)=養老郡養老町=は「昨年と違って声が出せるので、より応援に力が入る」と話した。

 大会の運営側にとっても、にぎやかな会場の復活は喜びの一つ。県高野連の森川賢二会長は「やはりスタンドからの声は心躍る。選手も力以上のものが出せる。夏の風物詩が戻ってきたようで安心した」と安堵(あんど)の表情を浮かべていた。