先週は、岐阜県高山市にある五穀のキビを由来とする「黍生(きびゅう)」を紹介しました。今週は、揖斐郡揖斐川町の旧藤橋村地域にあった「鬼姫生」。何と、鬼姫生も「きびゅう」と読むのです。

 当地に残る伝説が由来のようです。藤橋村史に江戸時代の地誌の原文が紹介されています。概要は「恋に破れた女が鬼となって悪さをしたが、最後は後悔の念を明らかにして自ら火に飛び込んだ」というもうのです。鬼は諸伝説で退治されるのが常ですが、鬼姫生の伝説は何とも不思議な余韻を残すストーリーです。

 なお、鬼姫生は横山ダムの建設に伴い1963年に他の集落とともに水没し、住民は移転しました。近くには碑が残っており、碑文には「ふるさとを失うことは永久の痛恨事であるが、われわれは公共の福利のため涙をのんでこの地と決別するかくごをした」などと残されています。

 

【答え】きびゅう