-2023年はどんな年でしたか。

 自動車業界が半導体不足に伴う生産台数の減少からようやく抜け出したことで、出荷量、受注量が大きく回復した年でした。生産減前の19年に受注してきたものが大きく伸び、5-10月の上期だけを見れば売り上げは過去最高を記録しました。

 -何が伸びたのでしょうか。

 フェンダーライナー関係、自動車のタイヤの上の部分です。以前は樹脂製品でしたが、不織布を使うことで格段に静粛性、快適性が増します。不織布ですからもちろん軽量化にもつながります。高級車のみならず軽自動車にも採用が広がっており、ニーズの高まりを実感します。

 -今後の方向性は。

 社内から出る不織布のごみを繊維にリサイクルする技術に一定の目途がつきました。繊維をひっかく、ほぐし、最終的に綿にして再利用しますが、PET(ポリエチレンテレフタレート)とPP(ポリプロピレン)が混ざっていて、リサイクルは不可能と言われていました。経済産業省の成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)に選ばれたこともあり、技術開発が進み、目途がつきました。25年度初旬の事業化を目指しています。不織布の製造機械の消耗部品の内製化も計画しています。現状、ヨーロッパやアジアから仕入れるため、時間もコストもかかります。国内メーカーと組んで開発を進めています。

 -電気自動車(EV)化の流れは。

 モーターの音なので、従来のエンジン車の音とは違い、そこに対する静粛性が求められます。また、リサイクルやSDGsの面でもメーカーから強い要求があり、それぞれ対応していきます。今の車は安全性が高く、ぶつかることがないよう想定されていますので、樹脂から不織布へと部品を転換できるよう積極的にPRしていきたいと考えています。