-昨年を振り返って。

 当社は主に、土木・建築資材や製缶・板金製品の製造・販売を行っています。2021年末以降、製造するその材料となる鋼材の価格高騰が続いてきました。取引先からの理解を得て、ようやく昨年で価格に転嫁しきれたとの印象です。同時に工場の省力化も図り、業界に先駆けて、一昨年に続いて鋼材の加工機械を導入しました。パイプ切断やプレス加工などの工程を一元化することで、生産能力を高めただけでなく、加工の自由度も上がりました。

 -製品の幅も広がっています。

 売上高の4割を占める製缶・板金製品は、水槽だけでなく橋梁(きょうりょう)の架設材や高速道路の標識柱など生活を支えるさまざまな分野で使っていただいています。JAXA筑波宇宙センター展示館のテントの骨組みも手掛けました。

 -今年、創業60年を迎えますが。

 2代目として父の跡を継ぎ、15年が経ちました。経営面では、ある程度の売り上げを確保することで、大口の取引先や主力製品をあえてつくらず、幅広い業種へアプローチする態勢を整えることができました。組織としては、トップダウンからの変化を掲げ、プレイングマネージャーを育成するなど一人一人が自ら考え、行動するチームづくりを進めています。コンテスト形式の改善提案も定着してきました。

 -今後の展望は。

 土木・建築分野はコスト競争が厳しい上に人口減で建物が建ちにくい環境にあります。10年ほど前から設備関係に目を向け、製缶製品の一つ、工場内に機械を設置する架台の製造に注力。自動運転に代表されるように、これからはセンサーと半導体の時代。架台にも精密さが求められます。業界では機械と架台は別物として考えられていますが、そこから一歩踏み出し、一体で取り扱っていきたいです。金属部材の加工の専門化として取引先の願いに応える、良きパートナーでありたいです。