養老鉄道をこよなく愛する岐阜県池田町の少年は、本年度東京大学に進学しました。大学進学後、始めたのが地域を元気にする取り組み。昨年末に岐阜の若者をつなぐ団体を仲間たちと設立しました。鉄道が好き。その思いが地域への関心につながりました。「好きなことを追求してきた。好きなことで社会に関わっていきたい」と話します。

養老鉄道を愛する高橋秀歩さん。「乗り鉄」だといいます=2023年12月、岐阜市内

両親は「好き」を応援

 池田町粕ケ原出身の高橋秀歩さん(19)は幼いころから鉄道が大好きでした。父で教員の誠さん(54)、母の弘子さん(60)によると、3、4歳のころから大人が読む鉄道雑誌の写真特集を熟読。岐阜市内の駅を毎週訪れ、2、3時間ずっと電車を見ていたそう。弘子さんは当初早く帰ろうとしていたそうですが、「そのうち小さい椅子と本を持って付き合うようになりました」。本人が納得するまでとことん付き添いました。

 自宅も養老鉄道大好きな高橋さんのため、沿線の建て売り住宅を買いました。朝は始発電車の音で目覚めるといいます。小学校の夏休みの自由研究で養老鉄道を調べたときは、和歌山電鉄やいすみ鉄道(千葉県)へ一緒に行きました。

「好きなことは好きなだけやればいい」と話す高橋誠さん(左)、弘子さん=池田町池野、霞渓舎

 両親は高橋さんの「好き」を徹底して応援しました。誠さんは「好きなことは好きなだけ、気の済むまでやればいい」といいます。「ただ、わがままは許さなかった」。ゲームは禁止。高橋さんは小学校低学年のとき、「サンタさん、どうしてうちはゲーム機がこないのでしょう」と手紙を書いたそうです。

「ローカル鉄道は毛細血管」

 ローカル鉄道を研究していくうち、小学5年生で近くの養老鉄道の駅の清掃活動を始めました。いすみ鉄道で話を聞いた駅員から、「自分でできることからやっていこう」と言われたのがきっかけ。...