土岐商を強豪校にした工藤昌義監督が率い、初戦の2回戦八頭(鳥取)戦で学校初勝利を挙げた2010年選手権。岐阜県史上2位タイ、戦後1位タイの大量得点である15点での大勝の流れをつくったエース前田拓磨さん(31)に思い出を聞いた。

 2024年は、高校野球の聖地・甲子園球場が開場して100周年を迎えます。岐阜新聞電子版で毎週木曜日に各年の感動を当時の紙面と主力選手インタビューで振り返る「甲子園100年ぎふ」を連載中。そのインタビュー記事をWebで紹介します。電子版ではベテラン記者による試合の振り返り記事、当時の紙面も掲載。電子版はこちらから。「媒体」で「ぎふ高校野球」を選択してください。
土岐商甲子園初勝利の思い出を語る2010年のエース前田拓磨さん=中津川市中津川
 前田拓磨(まえだ・たくま)1992年、中津川市生まれ。小学3年で野球を始め、投手。土岐商3年でエースナンバーを背負う。卒業後は野球を離れたが、現在は、中学の硬式、軟式ともクラブチームのコーチを務め、土岐商野球部にも顔を出し、母校の復活を心待ちにしている。

 ―甲子園のマウンドは。

 前田 岐阜大会はすべて先攻だったが、初めて後攻となり、少し違和感があったが、まっさらなマウンドに立てるのはラッキーだと思った。正捕手は一つ下の宮内慎太郎だったが、工藤先生の戦略で同級生の藤田翼とのバッテリーだった。藤田はものおじせず、どっしり構えて、声をかけてくれて頼もしかった。

 ―好投が、打線にいいリズムをもたらした。

 前田 テンポとコントロールが売りだったので、四球だけは出さないよう打たれてもいいから、ストライク先行で思い切り投げた。...