泌尿器科医 三輪好生氏

 暑いこの季節になると急に増えてくる病気の一つが尿路結石症です。腎臓の中でできた結石が尿管まで落ちてきて詰まり、尿の流れが妨げられると、腰から下腹部にかけて強い痛みが生じます。夜間から早朝にかけて起きることが多く、吐き気や血尿を伴うこともあります。明け方に突然の激痛があり救急車で病院まで運ばれて来る患者さんの多くが尿路結石症です。

 男性の方が女性の2倍以上起こりやすいとされています。他の季節と比べて夏に2倍発生しやすいといわれています。診断は腹部のエックス線検査で結石を確認します。小さな結石や、骨や腸管のガスの影響で分かりにくい時はCT検査で確認することもあります。5ミリ以下の小さな結石であれば自然に膀胱(ぼうこう)まで流れ落ちて尿と一緒に排出されることが多いですが、尿管の中に長期間とどまっていると腎機能が低下する原因となります。

 水分を多めに取って尿量を増やしながら体をよく動かして結石の下降を促しますが、それでも自然に排石しない場合は手術が必要になります。体外衝撃波結石破砕術(ESWL)は衝撃波を発生する装置を体に密着させ、結石を細かく破砕して排石しやすくする治療です。結石の硬さや存在する位置、大きさによっては一度で十分に破砕できないため、繰り返し治療を行う必要があります。経尿道的結石破砕術(TUL)は細い内視鏡を尿道から膀胱を通って尿管まで進め、レーザーなどで直接結石を破砕する治療です。

 尿路結石は80~90%で再発するといわれていますが、予防に努めることで再発率を低下させることができます。尿量が少ないと尿が濃縮され結石ができやすくなります。特に夏場は脱水になりやすいので水分を多く取ることが勧められます。

 食生活の乱れも影響します。夕食を中心とした食生活、特に遅い時間に肉類など動物性タンパク質を多く摂取する人は要注意です。1日3食、バランスの良い食生活に心掛け、夕食は就寝の4時間以上前に済ませるようにしましょう。

 尿路結石の結晶成分で代表的なものはシュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、尿酸です。ビールなどプリン体を多く含む食物の取り過ぎは尿酸結石の原因となるので控えます。また、結石の成分になるシュウ酸を多く含むホウレン草やキャベツ、紅茶、緑茶などの過剰な摂取にも気を付けましょう。クエン酸の適度な摂取は予防効果があるといわれています。頻回に結石ができる場合は、内分泌や代謝に異常がある場合もありますので採血などで調べてもらうことをお勧めします。

(岐阜赤十字病院泌尿器科部長、ウロギネセンター長)