整形外科医 今泉佳宣氏

 中高年者で数分歩くと足が痛くなったり、しびれてしまい歩けなくなったりする方がいます。これは間欠跛行(かんけつはこう)といい、医療機関を受診すべき症状です。

 間欠跛行の原因は二つあります。一つは足を栄養する血管の内腔(ないくう)が狭くなり、足に血が通いにくくなることで生じます。閉塞(へいそく)性動脈硬化症や閉塞性血栓血管炎と呼ばれる疾患で起こり、血管性間欠跛行といいます。もう一つは脊椎で足へ向かう神経が圧迫されることで生じます。腰椎で馬尾(ばび)神経が圧迫される腰部脊柱管狭窄(きょうさく)症が代表的な疾患ですが、頸椎(けいつい)や胸椎で脊髄が圧迫されることで起こることもあり、神経性間欠跛行といいます。

 血管性と神経性、どちらが多いのでしょうか。ある施設の報告では、間欠跛行で整形外科外来を訪れた患者さんの75%が神経性、10%が血管性、15%が両者を合併していました。実に90%の患者さんが神経性の間欠跛行であったわけです=グラフ=。

 神経性間欠跛行の代表疾患は腰部脊柱管狭窄症です。腰椎に限らず、背骨である脊椎には神経の通り道である椎孔(ついこう)という穴が空いており、椎孔の連続を脊柱管と呼んでいます。その脊柱管が腰椎のところで狭くなるのでこの疾患名が付けられています。

 腰部脊柱管に存在する大部分の神経は、馬尾神経と呼ばれる脊髄から枝分かれした神経の束です。突出した椎間板により前方から、そして肥厚して脊柱管内に食い込んだ黄色靱帯(じんたい)により後方から脊柱管が狭くなると馬尾神経が圧迫され、足の痛みやしびれを生じます。

 腰部脊柱管狭窄症による神経性間欠跛行の特徴は、足が痛くなり立ち止まって休むときに腰をかがめる姿勢を取ることです。これは腰を前かがみにすると狭くなった脊柱管が広がり、神経の圧迫が軽減するからです。

 前述したように、間欠跛行の患者さんの多くは神経性であり血管性の可能性は少ないのですが、血管性の可能性も考えて神経性と鑑別する必要があります。最も簡便なのは問診です。問診で「自転車をこぐときに足は痛みますか?」と尋ねます。そして患者さんが「痛いです」と答えたら血管性を、「痛くありません」と答えたら神経性を疑います。これは腰を前かがみの状態にして足の運動をしたときに足が痛くなるかどうかを調べています。血管性の場合は腰の姿勢にかかわらず足の血の巡りが悪くなることで痛くなりますが、腰部脊柱管狭窄症では脊柱管が広がり痛みを生じません。