内科医 梶尚志さん
皆さん、こんにちは。3回目の執筆となります梶尚志です。開業以来23年間、総合内科専門科医として内科だけでなく小児科診療も行ってきました。その中で、通常の診療ではなかなか体調不良が改善しない子どもたちに対して、さまざまな栄養素の状態を調べることで、多くの体調不良の原因を見つけて、お薬に頼らない栄養療法を実践しています。
さて今回は、「五月病」や、梅雨の時季などに心の不調を訴える子どもたちが多い「梅雨うつ」についてお話ししていきます。
まず新学期が始まり、入学や進級などで新しい生活がスタートして、ゴールデンウイークでほっと一息。その後、6月に向けて、一日の寒暖差が激しく、身体的なストレスを感じたり、新生活の学業のペースに慣れないまま、学校に行けなくなってしまうほどの心の不調を発症したりするのが、いわゆる「五月病」なのです。
そして、梅雨時のこれからが、またメンタルの不調を来しやすいので要注意の時季なのです。この時季に発症するうつ症状を、私は「梅雨うつ」と呼んでいます。
雨の日は、なんとなく気分が沈みがちになる方が大人でもいらっしゃるのではないでしょうか。雨の日は、普段に比べて傘を持って出たり、長靴を履いたりして、荷物もぬれてしまって、面倒なことが多いですよね。それが、子どもたちを朝からなんとなく「憂うつ」な気分にさせてしまう原因の一つです。
そしてこの時季に、体、特に子どもの脳にとってとても影響を与えるのが、日照時間の減少です。
太陽の光は、脳内の“幸せホルモン”、セロトニンとドーパミンといったメンタルホルモンの合成にとても重要な働きをしています。日照時間が減ることによる影響は、直接的に幸せホルモンが減ってしまうことと、もう一つとても大切なことがあります。それは体の中で幸せホルモンの合成に関わるビタミンDが減ってしまうことで、間接的に幸せホルモンの減少につながり、ダブルパンチとなるのです。
ですから、この時季は特に、幸せホルモンの原料となるタンパク質を朝から食事でしっかり取って登園、登校することです。ビタミンDは、品質の良いサプリメントで補ってあげましょう。
栄養療法実践医だからこそ、お話しできる子どもの「梅雨うつ」の正体、ご理解いただけましたでしょうか?
次回は、秋ごろ、皆さんのお役に立てるトピックと栄養について、お話しします。どうぞ、お楽しみになさってください。