第97回選抜高校野球大会(3月18日開幕、甲子園)の選考会が24日開かれ、昨秋の東海大会覇者・大垣日大の2年ぶり6度目の選抜出場が決定した。監督となって初の甲子園采配となる高橋正明監督の下、春本番に向け、ナインが目指すのは〝ニュー日大野球〟。新基準バット導入2年目で進化する甲子園の野球に対応し、阪口慶三前監督が築いた土台となる阪口野球を越える新生日大の野球とは何か―に迫った。

第97回選抜高校野球大会への出場を決め喜ぶ大垣日大ナイン=安八群神戸町末守、同校硬式野球部グラウンド(撮影・坂井萌香)

 ◇新基準バット導入2年目で甲子園は第2フェーズに

 新チーム発足後、公式戦無敗で進撃を続け、東海覇者となった大垣日大のナインにとって、全国初舞台の明治神宮大会での敗戦は大きな転機となった。

 初戦の東海大札幌(北海道)戦、初回に3失点。県、東海のように高い対応力で好投手を攻略しての逆転が期待されたが。相手の継投にかわされ、零敗に終わった。

攻守ともチームの支柱・西河遥人、パワーアップ打線の象徴としてけん引する

 攻守の要の主将西河遥人は語る。「岐阜や東海レベルでの投手は攻略できても、全国レベルの投手には通用しなかった。個々のレベルをもっと上げないと」。それが、冬場の大きなチームテーマだ。

 打球が飛ばない新基準バット導入元年の昨年、全国の高校が目指した「低く強い打球」。その野球で夏、甲子園の頂点に立ったのが京都国際。前県岐阜商監督の鍛治舎巧さんは「京都国際はグラウンドが狭いこともあって、一日千本以上、強いゴロを打たせた。それが、甲子園のヒットゾーンの三遊間、一、二塁間、センター前に、低い当たりで抜けるヒットを量産することになり、打線がしっかりつながって勝ち切った」と優勝の要因を分析する。「ただ、もうそれだけでは勝てない」と鍛治舎さんが指摘するように日本の高校野球は次のフェーズに入っている。

 高橋監督はそれを痛感している。「高校生はすぐに新基準バットに対応できるようになる。低い打球だけやバント戦法だけでは勝てない」。そこで目指すのが〝パワーとスピード〟。「神宮大会でも横浜や東洋大姫路の打者の外野の頭を越す打球はすごかった。あれを目指さないと」と高橋監督は語る。

 ◇パワー、スピードアップで外野の頭を越す打線に

 パワーとスピードをアップさせる冬場の体力トレーニングの厳しさは大垣日大の伝統。だが、高橋監督はさらに新たな手法を取り入れた。...