【ワシントン共同】新型コロナウイルスワクチンを同じ腕に2回接種した人は、別々の腕に接種した人よりも早く免疫を得られるとの研究結果を、オーストラリアのチームが29日までに米科学誌セルに発表した。チームは、追加接種が必要な他のワクチンでも同様の効果が得られるとみている。
チームは30人を対象にした臨床試験で、米ファイザー社製のコロナワクチンを2回とも同じ腕に接種したグループと、別々の腕にしたグループの免疫反応を比較。ウイルスの働きを抑える中和抗体が増えるスピードが、同じ腕にしたグループの方が速く、2回目から1週間以内に増加していた。約4週間後には両グループで同程度になった。
同じ腕に接種すると、1回目の接種の影響で警戒態勢になっている付近の免疫細胞「マクロファージ」が、他の免疫細胞に働きかけて効率的に抗体を作り出すという。
チームは「別々の腕に打っても心配はいらないが、同じ腕に接種することで免疫を持つ人をより早く増やすことができ、感染拡大の抑制につながる」としている。