金融政策決定会合に臨む日銀の植田総裁(中央)ら=1日午前、日銀本店

 日銀は1日の金融政策決定会合で景気予測を大幅に引き下げ、2025年度の実質国内総生産(GDP)成長率を1月時点の前年度比1・1%から0・5%にした。トランプ米政権の関税強化策に端を発した貿易摩擦で世界経済が急減速し、国内企業の収益が打撃を受けると判断した。政策金利を維持することも決めた。植田和男総裁は記者会見で、日米両政府の関税交渉が進展しても「無視できないレベルの影響が残る」と述べた。

 景気予測は「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で示した。政策金利は0・5%程度で、据え置きは3月に続き2会合連続。植田氏は物価上昇率を考慮した実質金利が極めて低いことを理由に、今後も利上げする方針は堅持すると表明した。利上げ時期は、世界経済の先行きが見通しづらいとして「大きく前後する」と述べた。

 26年度の成長率予測も1・0%から0・7%に引き下げた。貿易摩擦の影響で企業が支出を先送りする可能性があるためだ。賃金上昇率についても植田氏は「やや下振れする、あるいは伸び悩む」との見方を示した。