GLUT1欠損症遺伝子治療のイメージ

 脳がエネルギー源のグルコース(ブドウ糖)を取り込めなくなる難病「グルコーストランスポーター1(GLUT1)欠損症」患者への遺伝子治療を、自治医大のチームが始める。6人の患者を対象に臨床試験として行い、7月に1人目の患者に治療用の遺伝子を投与する。

 ブドウ糖に代わるエネルギー源として高脂肪の食事を取る「ケトン食療法」という治療法があるが、糖分の摂取を厳しく制限する必要があるなど患者の負担が大きい。自治医大の小坂仁教授は「遺伝子を脳内に届けて働かせることができれば、食事療法に代わる有効な治療になる。早ければ2年後の承認申請を目指したい」と話している。

 GLUT1は、脳の血液中にあるブドウ糖を、エネルギーとして使うために取り出すタンパク質。「SLC2A1」という遺伝子に変異があると、このタンパク質を作れなくなり、脳のエネルギーが不足しててんかんや運動まひ、発達の遅れといった症状が出る。厚生労働省によると、国内で確認されている患者は100人に満たないが、未診断の患者が多くいる可能性がある。