杉本製茶が海外に輸出している茶製品(同社提供)

 海外での健康志向の高まりや日本食ブームで拡大が続く静岡の名産「お茶」の輸出に、トランプ米政権の関税強化がどう影響を与えるのかが注目されている。関税引き上げが米国での需要減につながるとの懸念が根強い一方で、より高い関税を課されている中国産から日本のお茶に切り替えが進み、追い風になるとの見方もある。

 県内業者の日本茶輸出額は近年、右肩上がりで増加が続いている。2019年に約27億円だったのが、23年は約68億円と約2・5倍になった。米国はその半分近くを占める重要な輸出先になっている。

 静岡県島田市の杉本製茶は売り上げ全体の4割弱が米国への輸出分だ。社長の杉本将明さん(47)によると、昨年から抹茶の受注が好調で仕入れが追いついていない。中国産の関税引き上げも重なって「(米国の輸入業者からの)日本への発注がさらに増えていくのではないか」と期待する。

 県の25年度予算案には、輸出向け品種への転換など海外展開支援として2億2千万円を計上。25年の輸出目標額約87億円を下方修正する予定はないという。