アスベスト(石綿)を扱う工場で働きじん肺を患ったとして兵庫県尼崎市の元労働者の遺族が国に約600万円の損害賠償を求めた訴訟で、国に全額の賠償を命じた大阪高裁判決に対し、国は2日、上告を断念したと明らかにした。期限は1日までで、国の敗訴が確定した。
賠償請求権が消滅する「除斥期間」(20年)の起算点が争点。国は2019年、当事者らに周知せず起算点を「診断日」に早めたことで元労働者は対象から外されていた。厚生労働省は、判決に沿って起算点を19年以前の「行政の健康被害認定時」に戻す。同種訴訟では25年2月に最高裁で国の敗訴が確定していた。