AIで小惑星「りゅうぐう」の表面の岩石を識別した画像(東京大の清水雄太特任研究員提供)

 地球から遠く離れた宇宙に浮かぶ小惑星の岩石の大きさや形を人工知能(AI)で素早く識別するシステムを、東京大のチームが3日までに開発した。「はやぶさ2」などの探査機が撮影した小惑星「りゅうぐう」と「ベンヌ」の画像で試したところ、表面の岩石の大半を判別できた。

 将来の惑星探査で、探査機が安全に着陸できる地点や岩石の採取場所を探すのに役立つと期待。2026年度に打ち上げ予定の日本の探査機MMXが火星の衛星に着陸する際に活用する。トンネル掘削現場などでの岩石の監視にも応用できる可能性がある。

 チームはディープラーニング(深層学習)を使い、さまざまな大きさの岩石計約7万個のデータから、主に輪郭の特徴をAIに学習させた。りゅうぐうとベンヌの画像約1万枚で性能を調べると、直径1メートル以上の岩石約20万個の大きさや形、位置を識別できた。清水雄太特任研究員は「人が2週間かかる作業を数秒で終えられた」と話す。