トランプ米政権の関税引き上げが早くも日本企業の経営を直撃している。米国に生産拠点を持たない日立建機は、2026年3月期の本業のもうけを示す連結営業利益が300億円下押しされる恐れがある。電子部品や海運など幅広い業種から懸念が相次ぎ、円安も追い風にしてきた日本経済の稼ぎ頭に暗雲が垂れ込める。25%の追加関税を課される自動車各社は8日のトヨタ自動車を皮切りに業績予想を示す。
日立建機の先崎正文社長は「あまりに不確実性が高く、業績(見通し)に織り込むのには無理がある」と漏らす。300億円の算出根拠は4月発動の一律10%の相互関税、一時停止中の日本に対する14%の上乗せ関税の再開だ。米国は、同社の売上高の2割を超える最大の売れ筋市場だけに気をもむ。
電子部品大手TDKは、米関税政策と景気の予測が難しいとして26年3月期の連結業績予想を二つ示した。「関税は基本的に価格転嫁する方針」(斎藤昇社長)だが、リスクシナリオで営業利益が450億円落ち込むと見込む。