防衛省が設置した防衛力の抜本的強化に関する有識者会議(座長・榊原定征元経団連会長)が、2022年策定の防衛力整備計画改定の必要性を指摘する報告書を取りまとめる方向で調整に入った。23〜27年度の防衛費を約43兆円とする計画方針に関し、物価高を踏まえたさらなる費用増額が念頭にある。夏にも政府に提出する。政府は報告書を受け、整備計画改定の是非を検討する。複数の関係者が4日、明らかにした。
防衛力の抜本的強化に向けた約43兆円の防衛費の財源には、法人、所得、たばこの3税の増税を見込むが、所得税増税の開始時期決定は先送りされている。防衛費増は、国民の負担増につながるため、政府、与党内で理解を得られるかどうかは見通せない。
防衛省は24年2月、安全保障や経済、科学技術の専門家による有識者会議を設置。関係者によると、会議では、物価高や円安による装備品価格の上昇で約43兆円の枠内では防衛力強化を果たせないとの指摘が出ている。弾薬などの戦闘継続能力増強、無人機といった最先端装備の前倒し取得を求める意見も出た。