【ミラノ共同】トランプ米政権の高関税政策により、欧州の自動車メーカーの業績に暗雲が漂っている。メルセデス・ベンツグループとステランティスは2025年12月期通期の業績予想を撤回。関税の影響が本格化すれば、苦境は一段と深まる。
7日に決算を発表したBMWは通期予想を据え置いたものの、4〜6月期に関税強化の「顕著な影響を受ける」と説明。オリバー・ツィプセ会長は「動向を注視し、さまざまなシナリオに備えている。迅速に対応し、年間目標の達成に全力を尽くす」と述べた。
メルセデスやフォルクスワーゲン(VW)は関税の影響を和らげるため米国で生産増強を検討するが、実現には「何年もかかる」(メルセデスのオラ・ケレニウス最高経営責任者=CEO)のが現実だ。
各社は経費抑制策も検討する。ジープなどのブランドを展開するステランティスは、米国の従業員900人の一時解雇を公表。ルノーは米国で新型車の発売を延期する。ルノー幹部は「不安定な経済環境を受け、積極的なコスト削減で競争力を強化する」と説明した。