記者会見する国立がん研究センターの河野隆志がんゲノム情報管理センター長=8日午後、東京都中央区

 国立がん研究センターは8日、がん細胞の遺伝子の変異を調べる「がん遺伝子パネル検査」を受けた患者の検査結果などを集約したデータベースへの登録が10万件を超えたと発表した。

 記者会見した河野隆志がんゲノム情報管理センター長は「将来のがん医療を見据えてデータを集めるほか、患者に合った臨床試験(治験)を紹介することができる、世界的に見ても着目すべきシステムだ」と評価した。

 パネル検査は、がん細胞で起きている遺伝子の変異を網羅的に調べ、有効な薬や治療法を探す「ゲノム医療」の一つ。2019年に保険適用され、現在は全国280カ所の病院で実施している。検査結果は、患者が同意の上で年齢やがんの種類、使用した薬剤などの情報と併せてデータベースに登録され、国内計70の研究機関や企業が治療法の開発に利用している。

 登録には検査を受けた99%が同意し、難治性の高い膵臓がんや、筋肉や脂肪などの標準治療がない希少ながんの患者が多い。