米国立衛生研究所(NIH)のロゴとトランプ大統領のミニチュア模型(ロイター=共同)

 米国の生命科学研究などへの資金配分を担う米国立衛生研究所(NIH)で、トランプ政権発足後の2月28日から4月8日までに計694件、約18億1318万ドル(約2600億円)の提供が停止されたとの集計を、エール大などの研究者が発表した。8日付で米医師会雑誌に論文が掲載された。

 政権は多様性・公平性・包括性(DEI)を狙い撃ちする政策を展開。集計で分かった停止額は全体の3・3%だが、NIHに26ある研究所やセンターのうち、少数者の健康問題を扱う国立マイノリティー健康格差研究所では扱う資金の29・6%、約2億2357万ドルを停止された。

 NIHの所長には新型コロナウイルス対策批判を展開したバタチャリヤ氏が起用された。国の新型コロナ対策を主導したファウチ氏が所長を務めた国立アレルギー感染症研究所は、額で最多の約5億597万ドルを停止された。

 大学などの提供先で最も影響が大きかったのは、パレスチナ自治区ガザを攻撃するイスラエルへの批判デモの中心地となったコロンビア大で、157件と突出。