記者会見する慈恵病院の蓮田健院長=8日午後、熊本市

 親が育てられない乳幼児を匿名で受け入れる赤ちゃんポストを運用する熊本市の慈恵病院の蓮田健院長は8日、導入から近く18年となるのを前に記者会見した。「当時0歳だった子が18歳になる年。(自身の)出自について何を病院に求めるのか」と述べ、対応を検討する考えを示した。子の出自を知る権利の扱いなどを巡る指針を作成中だと説明し、「今月下旬を目標に完成させたい」と話した。

 慈恵病院は2007年5月10日に「こうのとりのゆりかご」の名称で赤ちゃんポストを導入、23年度までに179人を受け入れた。蓮田真琴新生児相談室長は、これまでに10人ほどが、自身の出自に関する情報を求めて病院を訪れたと説明、「(その子らの)気持ちを大切にして関わっていきたい」と語った。

 慈恵病院は、病院以外に身元を明かさず出産する「内密出産」も導入。子の出自を知る権利の保障が課題となっている。

 一方、赤ちゃんポストと内密出産を巡っては、東京都墨田区の賛育会病院が今年3月に新たに導入し、内密出産に関わる費用は原則自己負担と説明していた。