新潟県の東京電力柏崎刈羽原発で重大事故が起きた際、住民避難用に稼働できるバスの台数を県バス協会の会員58社に尋ねた結果、回答した41社で保有する計1282台のうち、1割強に当たる134〜177台にとどまることが8日、共同通信の調査で分かった。主な理由は、運転手の被ばく懸念や通常業務の優先などだった。
国の計画では5キロ圏の避難に177台、5〜30キロ圏で基準値を超えた場合に最大1357台が必要とされる。国や県は実際に稼働できる台数を把握しておらず、実効性に課題が浮かび上がった。
内閣府は取材に、対象住民が一斉避難する事態は想定しづらいとし「確保できた台数で往復する」と説明。識者は「運転手の負担が大きすぎる」と疑問視し「実効性を度外視した単なる数字の組み合わせで、机上の空論だ」とした。
1〜4月、58社を対象としてアンケートに取材を併用して調査した。うち29社は具体的な稼働台数を回答。最も多かったのは40台だった。0〜11台などと幅を持たせて回答した社もあった。