7日、警視庁本富士署を出る戸田佳孝容疑者

 学校の成績や受験などに保護者が過剰に介入し、子に肉体的、心理的な負担を強いる行為は「教育虐待」と呼ばれ、過去にも複数の事件につながった。識者は「親からも社会からも評価されずに周囲への敵意を強め、事件を引き起こすケースがある。孤立した人間をつくらないことが重要だ」と警鐘を鳴らす。

 捜査関係者によると、戸田佳孝容疑者(43)は、親の教育虐待で不登校になったと供述。「教育熱心な世間の親たちに、度が過ぎると子どもが犯罪を起こすと示したかった」としている。

 教育虐待を巡っては、滋賀県守山市で2018年、元看護師の長女が母親を殺害。母親は国公立大医学部への進学にこだわり、約9年間浪人させていた。大阪高裁は「異常とも言える干渉の結果、殺害に至った経緯は同情すべき点がある」と述べ、懲役10年を言い渡した。

 23年には佐賀県鳥栖市で、父親から虐待を受けていた元大学生の長男が両親を殺害した。佐賀地裁は「暴力や教育虐待がなければ、犯行に及ぶことはなかった」と認定。懲役24年とした一、二審判決が確定している。