20年前に全線が廃線となった旧名鉄美濃町線。岐阜市と美濃市、一部区間廃線後の1999年以降は岐阜市と関市を結ぶ路面電車でした。電車の運行は、美濃町線の起点だった徹明町駅ではなく、各務原線の新岐阜駅(2005年1月に名鉄岐阜駅に改名)からが中心でした。美濃町線と各務原線を結んでいたのが田神線。開通は1970年6月25日で、中間駅は一つだけ。美濃町線などとともに20年前に廃線となりました。全長1.4キロという短い路線でしたが、美濃町線電車の新岐阜駅乗り入れには欠かせない存在。また、岐阜地区の路面電車の要としての役割も担っていました。線路跡を巡りました。

◆美濃町線と接続した競輪場前駅

田神線を走る名鉄岐阜駅行きの電車=2005年3月、競輪場前-市ノ坪駅間

 これまで掲載した美濃町線跡の探訪に合わせ、終点側からスタートします。

競輪場前駅があった交差点。美濃町線は写真右側へ直進して徹明町駅へ。田神線は左折した先に乗り場があった(特記以外は2025年4月撮影)

 美濃町線と田神線が接続していたのは競輪場前駅でした。線路は道路上を通り、乗り場も路上。徹明町方面と新岐阜方面で、それぞれ電車のすれ違いができるようになっていました。

田神線の競輪場前駅があった付近
田神線を経由して美濃町線の新関駅へ向かう電車。競輪場前駅では電車がすれ違うことができるようになっていた(2005年3月)

 路上には跡は残っていませんが、乗り場があった付近では道幅が広く、駅があったことを思い起こさせます。

田神線の軌道は道路の中央を通っていた。背後には金華山と岐阜城が見える

 田神線の線路は南に向けて道路上を通っていました。背後には金華山と岐阜城が見えます。

道路上の軌道から市ノ坪駅に向かうカーブに差しかかる名鉄岐阜行きの電車=2005年3月
田神線の線路が道路上から専用の線路敷に移っていた地点

◆唯一の駅「市ノ坪駅」

 競輪場前駅から600メートルほど進むと、線路は西に90度カーブして道路から離れ、市ノ坪駅に到着します。...