投資詐欺に使われ、被害回復のために凍結されたベトナム人の銀行口座の資金について、東京都の会社が債権を主張したのは不当だとして、詐欺に遭った神奈川県の男性が債権回収の強制執行を許さないよう求めた訴訟の判決で、福岡地裁は13日、男性の請求を認めた。男性がこの会社を相手に起こした同種訴訟でも、強制執行を許さないとする東京地裁判決が確定している。
溝渕章展裁判官は判決理由で、会社側の債権に関する主張は一貫性を欠く上、督促の送達先がベトナム人の住所という記録はなく疑わしいと指摘した。
判決によると、男性は昨年1〜2月、架空の投資話を持ちかけられ、約1億2千万円を振り込んだ。男性は、資金移転先の口座名義人だったベトナム人らに損害賠償を求める訴訟を起こし、約1億円の支払いを命じる判決が確定。約9200万円が未回収となった。
東京都渋谷区の「スタッシュキャッシュ」はベトナム人に金銭を貸したと主張し、福岡簡裁から支払い督促を得て、福岡地裁に債権差し押さえをいったん認められていた。