記者会見する岩屋外相=13日午後、外務省

 政府は、沖縄県・尖閣諸島周辺で3日に発生した中国海警局のヘリコプターによる領空侵犯について、直前の日本の民間機による尖閣周辺での飛行が誘発したと分析している。政府は、尖閣の日本主権を制限しかねないため民間機の飛行規制には慎重な立場で、尖閣の安定的な管理に向けた課題が浮き彫りになった形だ。

 岩屋毅外相は13日の記者会見で「航行の安全を図る目的で、関係省庁から運航者に安全性を考慮すべきだと伝えた」と述べ、尖閣の領有権を主張する中国を過度に刺激しないよう飛行の自粛を求めていたことを明らかにした。

 複数の政府関係者や民間機を操縦した京都市在住の男性(81)によると、男性は2015年にも尖閣周辺を飛行。この際、中国による対抗措置などはなく無事だったことから、今年1月に再び尖閣周辺を飛行する意向を国土交通省那覇空港事務所に伝達した。

 政府は不測の事態の発生を懸念。国交省や海上保安庁の職員が「尖閣周辺では中国船が増え、状況が悪化している」と水面下で繰り返し中止を求めた。