オスロ大で受賞記念講演を行う京都大の柏原正樹特任教授=21日、オスロ(共同)

 【オスロ共同】「数学のノーベル賞」とも称され、優れた業績を上げた数学者に授与されるアーベル賞を日本人で初めて受賞した京都大の柏原正樹特任教授(78)が21日午前(日本時間同日午後)、ノルウェーの首都オスロにあるオスロ大で受賞記念講演を行った。

 受賞者による講演はアーベル賞の恒例で、「アーベル賞ウイーク」後半のヤマ場となる。一般市民に広く公開され、申し込めば誰でも参加できる。講演のタイトルは「モノイダル圏(非可換の場合)」。柏原さんが壇上に上がると聴講者から大きな拍手が送られた。

 柏原さんは東京大に進学後、恩師の故佐藤幹夫さんと出会い、佐藤さんが創始した代数解析学の研究を進め「D加群」理論を確立した。さらに「表現論」という別の分野に応用させようと研究を続け「幾何」との橋渡しをした。これらの来歴を振り返りつつ、講演を展開した。

 大きなスクリーンに映した資料を示しながらテンポ良く解説、「サンキュー」の言葉で締めくくった。