東京電力福島第1原発事故後に出た福島県内の除染土について、政府が首相官邸や東京・霞が関の中央省庁敷地での再利用を検討していることが22日、分かった。福島での実証事業以外では初で、花壇などに使う方針。政府が率先して先行事例を作り、停滞する再利用に弾みをつける狙い。月内にも全閣僚が参加する会議を開き基本方針を決定する。
第1原発周辺の中間貯蔵施設には、放射性物質で汚染された住宅や農地の除染で出た土など約1400万立方メートルが搬入されている。放射性物質濃度が基準値を下回るものは公共工事で再利用する方針。2017年に福島県で実証事業を開始したが、東京都や埼玉県など県外での計画は地元で反対が相次ぎ、事実上中断している。
政府は基本方針に除染土の再利用推進の他、貯蔵施設や利用現場の見学会などの拡大、最終処分場の候補地選定に向けたプロセスの具体化を進めることなどを盛り込む。夏ごろロードマップ(工程表)を取りまとめる。