岐阜城北の強さは本物だ。躍進の立役者・エース亀山優斗が打たれても全員で劇的な逆転サヨナラを生んだ〝チーム力〟。それが負けない理由だ。春季東海高校野球大会第2日は25日、ダイムスタジアム伊勢などで雨天順延となった1回戦2試合を行い、岐阜県1位の岐阜城北が東邦(愛知2位)に5―4の劇的サヨナラで初戦突破し、初の春東海ベスト4に名乗りをあげた。準決勝は26日、同スタジアムで行われ、岐阜城北は第1試合(午前10時開始)で三重(三重2位)と対戦する。(岐阜新聞デジタル独自記事です)

サヨナラ打の石井佑弥(背番号3)を満面の笑顔で迎える岐阜城北ナイン=ダイムスタジアム伊勢

 ◆追い詰められた最終回に2点のビハインドをはね返すチーム力

 八回表に3点奪われ、2―4。その裏は三者凡退。春の県王者にチームをいざなったエース亀山が降板し、万事休すかと思われた岐阜城北。しかもバントミスやけん制死など秋田和哉監督が「ミスだらけで課題は山積み」と振り返る試合内容。だが、ナインは誰もの予想を覆すドラマを東海の舞台で繰り広げた。

 九回裏の先頭は、八回途中からリリーフし、九回表を二飛、中飛、一ゴロの三者凡退に仕留めた二番手長屋樹。遊撃ゴロ敵失で出塁すると、主将の1番長江航佑が執念の遊撃内野安打。2番今井健は2球連続でスクイズを失敗したが、死球を勝ち取って無死満塁。1死となったが、打席には昨夏から主軸の4番太田陽民。一気にボルテージは高まる。

 だが、主砲の新チームの公式戦打率は1割4分3厘。春季県大会はわずか2安打で、この日も二回の2死満塁、七回の1死一、二塁、いずれもフライアウトで逸機し、ほしくてたまらなかった追加点をもたらせられないでいた。

 「欲を出さずにつなげられたらと思って打席に立ったが、2打席とも完全に崩されてしまった」と太田。最終回の場面も「気持ちは同じだった」という主砲を秋田和哉監督の一言が大きく背中を押した。「浮いた球を狙え」。...