中国で人や物を乗せて空を移動する無人操縦の「空飛ぶクルマ」の本格的な実用化が間近に迫る。政府は主に高度千m以下の低い空域で展開する経済活動を「低空経済」と呼び、成長エンジンとしててこ入れ。世界市場で高い競争力を誇る国産の電気自動車(EV)の成功を、ドローンを含む空飛ぶクルマの分野でも再現しようとしている。
広東省広州市にあるドローンメーカー「億航智能」の開発現場。2人搭乗可能な空飛ぶクルマが低い音を立てて地上数十mまで上昇し、あっという間に視界から消えた。安定した飛行ぶりに見学者から感嘆の声が漏れた。
開発責任者の賀天星氏は「使用技術は全て自主開発したものだ」と自信を見せた。複数の回転翼のモーターやバッテリーがそれぞれ独立した形で組み込まれ、一部に問題が生じても航続できる設計だ。年内にも市民の利用が可能になる見通し。
中国当局は低空経済を後押しするため、運航のルールづくりや支援を強化。低空経済振興のために全国各地で設立された基金の総額は1千億元(約1兆9千億円)を超える。(広州共同)